✨『銀河鉄道の夜は終わらない』 第15章 デブネルの悩みは軽くない
ガリバーの話が終わり、
車内に少しだけ静けさが戻った。
ガリバー
「じゃあ、次は…デブネルお前だ!なんかあるだろ?名前もアレだし。」
デブネル
「え〜ぼく?
そりゃ僕にも変わった名前はついてるけどさ。ガリバーほど深刻ではないよ?」
マッド
「どんな小さなことでもええんじゃ。さぁ、おじいちゃんに言うてみなさい。」
ミヤビ
「うわぁ、いつのまにかおじいちゃん気取りなんだけど…。」
ガリバー
「まあ、言いたくないことは言わなくていい。なんか言いたいことがあればでいいぞ。」
デブネル
「まあでも、僕だけ言わないのもね。
まあこう見えても悩みの一つや二つくらいありますよ。」
ミヤビ
「じゃあ何なのよ?」
デブネル
「……家のこと、名前のこと色々…」
ガリバー
「名前はまあわかるが、お前も家のことを抱えてたんだな。」
デブネル
「ガリバーほどじゃないよ。うちは親も甘いし、仲も別に悪くはないからね。」
マッド
「いっちょ、おじいちゃんに話してみなさい!」
デブネル
「えーとまあ、まず名前のことなんだけど…。僕の名前は、田中鐘(カンパネルラ)…。なんか気づかない?」
インファ
「…かっこいい名前…!」
ミヤビ
「別に普通じゃないかしら?」
ガリバー
「そうだな、今はそんなに変にも思わないぞ!」
デブネル
「いやいや!みんなどうしちゃったの?
普通に変でしょ!麻痺しちゃってんじゃないの!?」
ガリバー
「そうわ言われても。慣れちゃったもんは仕方ねえ。でも系統的にうちと違ってヤンキー家系ではないんだろ?」
デブネル
「まあそうなんだけどさ。うちは逆に先祖代々の名家なんだよね。でもなぜか、先祖代々イタリアかぶれで、名前は全部イタリア語にされちゃうんだよ。」
ミヤビ
「あーなるほど。イタリア語でカンパネルラは鐘の意味よね。」
デブネル
「そう!それなんだよ!そのことについて父親に文句言うとなんて言われると思う?」
ガリバー
「んー、先祖代々の伝統だからとか?」
デブネル
「いや、父さんの名前が田中三拍子(ワルツ)だから、父さんよりマシだろ?って。鐘は今風の名前だって…」
インファ
「甲乙つけられない…」
ミヤビ
「ワルツってイタリア語で三拍子って意味なのね。勉強になるわ。」
ガリバー
「まあでも、ワルツの方が短くてまだマシかもな。別にカンパネルラが悪いとかじゃねぇけどさ。」
デブネル
「そうなんだよ!
パパはそう言うけど、パパは自分の名前気に入ってるぽいんだよね!」
ガリバー
「じゃあ、お前の悩みは親父のように自分の名前を好きになりたいってことか。」
デブネル
「いやいや!
僕の代でイタリアかぶれを終わらせたいんだよ!」
ミヤビ
「まあ……終わるといいわね。」
デブネル
「僕のとき、かるくない!?
そりゃガリバーとは違うけどさ。」
ガリバー
「そんなことねぇぜ。立派な夢だ。ちなみに死因(ここにきた理由)は、スティックパンだろ。過食は悩みじゃねぇのかよ?」
デブネル
「過食?偉大な記録挑戦のこと?てか死んでないし!」
インファ
「…13本は天才です……」
デブネル
「マッド先生はどう思う?」
マッド
「ん…ワシか?
そうじゃのー…ワシの科学室にもイタリアの要素を入れてもいいかの〜
と考えておったんじゃ!」
デブネル
「今回役にたたねー!」
ガリバー
「まあ……でも、さすがにスティックパンはほどほどにしろよ?
親父もどうせならフランスパンでやって欲しいんじゃねぇか?」
デブネル
「フランスじゃなくて、イタリア!
ねぇみんなふざけ出してない?」
ミヤビ
「わたしはあなたの名前いいと思うわよ。
田中金(マニーゴールド)じゃなくてよかったじゃない!」
デブネル
「意味だぶってるでしょ!もはやイタリアさえ関係ないし!」
インファ
「…田中金(ドルユーロ)…」
デブネル
「被せてくんな!」
マッド
「デブネルよ。お主の名前が嫌いなら、いま呼ばれている名を名乗ると良いぞ!ワシらにとってはデブネルだからの!」
デブネル
「慣れて麻痺してるかも知れないけど、ぼくのあだ名だけ明確に悪口入ってるのわかる?初対面で自分のこと、
デブのカンパネルラなんで〜、デブネルってよんでね⭐︎
なんて言わないよね。」
ガリバー
「まあ俺もガリ入ってるし!」
デブネル
「全然違うよ!むしろ元の名前よりカッコよくなってるよ!」
ミヤビ
「デブネルが嫌なら、鐘(カネ)ネルでもいいわよ?」
デブネル
「もうグチャグチャじゃん…。
もう、正直デブだろうがカンパネルラだろうがどっちでも良くなってきたよ!」
マッド
「最初の呼び名、カーネルのほうがよかったんじゃないの?」
デブネル
「もう新しい呼び名はいいんだよ!そっから離れてよ!」
ガリバー
「まあでも、俺たちにとっちゃデブネルはデブネルだろ!悪口でもなんでもねぇ!
デブネルでしかなれねぇお前がいるだろ?」
デブネル
「…じゃあデブネルで…」
ミヤビ
「いいこと言うじゃない!」
インファ
「ガリバーさん……かっこいい……!」
マッド
「ワシも好きじゃぞ、デブネル。
響きが科学じゃ!!」
デブネル
「もう締めようとしてんじゃん!!」
でも、デブネルは少しだけ笑っていた。
—
悩みは軽いようで、本人にとっては重い。
でも仲間に話すことで、
ほんの少しだけ心が軽くなったようだった。
列車はまた、静かに走り続ける。
—


コメント