『通勤電車で世界を救いかけた男』
今朝、私は通勤電車の中で世界を救いかけた。
いや、正確に言うと、救う準備の準備の準備くらいまでは進んだ。
なぜそんな大それたことを考えたのかというと、
電車が3分遅れただけで「もうダメだ」と思ってしまう自分に嫌気がさしたからだ。
3分だぞ。
宇宙規模で見たら誤差どころか、もはや存在しないレベルの時間だ。
そこで私は思った。
「俺はもっと大きく生きるべきでは?」
しかし、次の瞬間、ドア付近で押しつぶされそうになり、
「いや、まずはこの電車を生き抜くことが先だ」と悟った。
世界を救う前に、まず自分の肋骨を守らねばならない。
そんな中、ふと横を見ると、
スマホでゲームをしている小学生くらいの少年がいた。
彼はボス戦で負けたのか、
「くそっ!」と小さく叫んでいた。
私は思った。
「この少年、将来世界を救うタイプだな」
なぜなら、
ボスに負けても再挑戦する姿勢がある。
私なんて、朝の満員電車に負けただけで人生を諦めかけているのに。
彼の横顔を見ながら、
「俺もまだ舞えるのでは?」
と、謎の勇気が湧いてきた。
結局、私は世界を救わなかったし、
会社に着いたら普通にメールを返していた。
だが、あの3分遅れの電車の中で、
確かに私は“何者かになりかけた”のだ。
そして今日も私は、
世界征服の野望をポケットにしまい込み、
とりあえず仕事を始めるのである。
—


コメント