✨『銀河鉄道の夜は終わらない』第3章 あだ名決め回
名前の地獄を共有して、
なんとなく仲間意識が芽生えた俺たち。
でも——
田中ジョバンニ
田中カンパネルラ
長い。
呼びにくい。
もはや古代呪文。
「なあ、そろそろあだ名決めね?
このままだと会話のたびに寿命削れるわ俺」
「うん、僕もそう思ってた。
君の名前、言うたびに口が乾燥するんだよね」
「スティックパンばっか食ってるからだろ」
「ん…?なんかいった…?」
「まあ、それより早く決めようぜ」
「じゃあジョバンニ君からね」
カンパネルラは俺のガリガリの腕を見た。
「ガリガリのジョバンニだから……ガリジョバ……?」
「ガリジョバ……ってひどくなってないか……?」
「じゃあ……ガリバンニ……?」
「だから、悪口追加されただけだろ」
「じゃあ……ガリニー……?」
「なんか気持ち悪い!」
「じゃあ……ガリバー……?」
「んーまあ悪くない。てかありだな。」
「急にかっこよくなっちゃっね。」
“ガリバー”は語感がいい。
俺の中で候補に残った。
「じゃあ次、お前の番な」
「僕の……?」
「あー、お前はデブなカンパネルラだから……デブパネルラ……?」
「悪口つよすぎない!?」
「じゃあ……デブパネル……?」
「デブは壁にでも埋まってろってこと!?」
「じゃあ……デブが寝る……?」
「寝てないよ!?僕そんなに寝てないよ!?
ていうか“寝る”って何!?デブから離れてよ。」
「じゃあ……デブネル……?」
「こんなに近くにいるのに話が届かない…」
「それが嫌なら、スティックパン田中かな…」
「うん…もうデブネルでいいよ……。デブとか時代的にアウトだからね。」
「ガリはいじっていいみたいになってるけど本質は同じだからな。」
「君のガリバーはかっこいいじゃん。」
「でも…デブネルの語感もなかなかよくないか…?」
「うるさいよガリバー」
もう呼んでるし。
「じゃあ決まりだな。
俺はガリバー、お前はデブネル」
「うん。ガリバーとデブネル。
不本意だけどね。」
「お前は、スティックパン13本で死んだ疑惑あるやつからデブネルでいいんだよ。」
「色々倫理観バグってるね。君だって過労で死んだ疑惑あるじゃん!」
「それは言うな!」
そんなやり取りをしていたら、
列車の空気が少しだけ明るくなった気がした。
名前って、
こんなに人を近づけるんだな。
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