✨『銀河鉄道の夜は終わらない』
第2章 銀河鉄道で名乗った田中と田中
電車に乗り込むと、乗客は誰もいない。
席は他にも空いていたけれど、ここで別々に座るのは、さすがにない。
遠足で一人で弁当食べるくらい意味のないことだ。向かい合わせにそれぞれ座る。
2人が座ると、列車は勝手に出発した。
外は思っているより宇宙。というか星空。
でも別に星は近くない。地球で見るのと同じ距離感。
全方向星空なのは多少ロマンチックと言えなくはないが、今はそれより状況整理したい。
そのためには、目の前のデブ……、いやぽっちゃり田中に聞くしかない。
ちなみに俺はバイトと学業の過労でガリガリ体型だ。
俺(ジョバンニ)は聞いた。
「なあ、これってなんなんだ?夢か?」
「んー、夢にしては長いんだよね」
と、ぽっちゃり田中。
「えっそうなの?俺さっき目覚めたばっかなんだけど…」
「君より前にいたんだよ!
電車乗ろうと何回かしたんだけど、いれてもらえなくてさ。」
「そうか。」
「もう1人来るまで待ってくださいって言われてさ。
だから君が来てくれてよかったよ!僕の膝はもう限界だったからね!」
まあ、デブあるあるか…
「一つ気になることがあるんだが?」
「なぁに?」
「お前はどうやってここに来たんだ?」
「んーなんだっけ?思い出すから先に君から教えて!」
「俺か…最後の記憶は、バイト帰りになんとか教科書を開いたところで気絶した。多分…」
「寝落ち?」
「いや多分過労…いろいろあってバイトガン詰めなんだよ。あとワンチャン俺死んでるかも。
バイトしすぎて最後どの空間にいたかもわからなくなってたし。」
「ワーカーホリック?貧乏なの?」
「ちげーよ!親にやらされてんだよ!」
「色々あるんだねぇ。」
「お前はどうだ?何か思い出せたか?」
「僕はね……だいぶ前のような気がして曖昧なんだけど、
最後の記憶が、自分の部屋でスティックパンを何本口に入れられるかの実験をしてたんだ。
いずれギネス狙おうと思っててさ。
その日は調子が良くて12本目までいったんだよ。
で、おそらく世界記録であろう13本目を口に入れた瞬間、記憶が終わってるんだよね…」
「何その記憶…?
いや死因確実にそれだろ!
パン詰めすぎの窒息死だろ!」
「えっ……?」
「ちょっと待ってくれよ。
それが本当なら俺も過労でいっちまったんじゃねえのか?
急に不安になってきたんだけど」
そうか。
まだやりたいことはたくさんあったけど、
人って死ぬと宇宙に行くんだなぁ。
誰かに教えてやりたいけど、目の前のこいつに言っても仕方ない。
前向きに今できることを考えよう。
「ところでさ、二人とも田中だと呼びにくくてしょうがねぇから、
なんかいい呼び名決めようぜ!」
「うん、いいね。君の名前は?」
「お、俺から……?まあいいけどよ……。
笑うなよ?俺の名前は田中ジョバンニ。
漢字だと城罵怒仁。説明はめんどくさいから省略」
「じゃあお前は?どうせ普通の名前なんだろ?」
「僕の名前は……田中……田中カンパネルラ……
カ、カ、カンパネルラ……」
「は?なんて?シャンパンタワー?」
「カンパネルラ!鐘って書いてカンパネルラなの!」
「辛いこと聞いちまったな。すまねえ」
「君の名前も大概だよ!
なんなら今日、生まれて初めて、自分の名前に少しだけ自信が持てたぐらいだよ」
生憎、二人ともとんでもない名前をつけられた者同士だった。
・田中城罵怒仁(ジョバンニ)
・田中鐘(カンパネルラ)
「いま流行りのキラキラネームってやつだよな俺たち」
「つけられたのはいまじゃないし、別にはやってもないよ…」
ここで明かされた衝撃の真実(名前)。
二人の不安な距離感は、一気に仲間意識へと変わるのであった。


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