✨『銀河鉄道の夜は終わらない』第1章 星空の駅で出会った田中と田中

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銀河鉄道の夜は終わらない 第1章 星空の駅で出会った田中と田中

星空の駅で出会った田中と田中

田中城罵怒仁(タナカジョバンニ)は今日も眠かった。

※読みはジョバンニ。親の名付けセンスは宇宙の彼方に消えた。

親のクソみたいな教育方針のせいで、

高校一年生にも関わらずバイト三昧。

朝は新聞配達、

昼は内職、

夜はファミレス。

休日は着ぐるみ着て闇バイト。

昨日なんて、宿題開いた瞬間に文字が宇宙の法則に見えた。

で気を失った。

で、次に目を開けたら——

星空のど真ん中に立っていた。

「……いやここどこよ?」

地面なし。

空気なし。

でも息はできる。

宇宙服のいらない優しい宇宙だ。

目の前には、銀色の巨大な列車がぷかぷか浮いていた。

線路?ない。

浮力?知らん。

とりあえず光ってる。

「この電車は間違いなく酔うな……」

と、どうでもいいことを考えていると——

背後から声がした。

「君もその電車乗るの?」

振り向くと、ぽっちゃりした少年が立っていた。

知らない場所で知らない人に会うのは恐ろしい。

だけど、ぽっちゃりは安心の象徴。

威圧感を産道に置いてきたような顔をしている。

「あー、ここどこかわかんなくてさ。気づいたらここにいたんだけど……乗った方がいいの?」

ジョバンニは言った。

「僕も同じだよ。君より先にいたけど……いつからいたかはよくわかんないんだよね」

ぽっちゃり少年は、

ゆるキャラみたいな存在感で答えた。

そのとき——

『まもなく出発しまーす。お二人ともご乗車くださーい』

列車からアナウンスが聞こえた。

知らない人について行くなとは言われたことはあるけれど、

知らない列車に乗るなとは言われたことはない。

そして、ここに置いていかれるのはもっと怖い。

“二人”って俺たちのことだよな……と考えていると——

『田中さーん、田中さーん、ご乗車くださーい』

「「はーい」」

……ん?

「えっ、君も田中?」

「うん。君も?」

「同じ苗字だね」

田中という苗字は珍しくないけど、

星空の駅で出会うと、なんか運命っぽい。

「とりあえず乗ろっか。出発できなさそうだし」

ぽっちゃり少年が言った。

まあ、細かいことは後でいいか。

ジョバンニは思った。

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