『シンデレラ 夜の舞踏会は少しおかしい』第三章 舞踏会?知らん。まずこの家が終わってる。

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舞踏会?知らん。まずこの家が終わってる。

義母と義姉が家に来てから、

家の空気は“家庭”じゃなくて“実験場”になった。

まず義母。

朝から晩までずっとハイテンションで、

「美しさは戦争よ!」

と叫びながら家中を歩き回る。

戦争って何。

義姉Aは鏡を見ながら、

「今日の私、昨日より可愛い。

昨日の私、今日の私に嫉妬してる。」

と、意味不明な自己比較をしている。

義姉Bは常に何か食べている。

食べていない時は、

「食べてない私、偽物じゃない?」

と言いながら食べ始める。

私はというと、

母の12巻を片手に、

家事をしながら魂の輝きをチェックしていた。

義母の魂:

光ってるけど、方向が“上”じゃなくて“斜め”。

しかも速度が速い。魂が常に走ってる。

義姉Aの魂:

鏡に反射して自分に戻ってくる。

自給自足型のナルシスト魂。

義姉Bの魂:

食べ物の形をしている。

魂がパン。

そんな家で、ある朝、義母が叫んだ。

「シンデレラ! 大変よ!

王子様が舞踏会を開くらしいわ!」

いや、知らんがな。

義母は続ける。

「王子様は花嫁を探してるのよ!

つまりこれは“美の戦争”の開戦よ!」

戦争って何(二度目)。

義姉Aは鏡を抱きしめて震えていた。

「ついに…ついに私の美しさが世界にバレる日が来た…

どうしよう…世界が私を欲しがってしまう…」

義姉Bはパンを食べながら言った。

「王子様って美味しいのかな。」

食べるな。

義母は私の肩を掴んで言った。

「シンデレラ、あなたは行かないわよね?

あなたが行ったら、うちの娘たちが霞むじゃない。」

いや、行く気なかったけど、

その言い方はちょっとムッとする。

でも私は母の12巻を思い出した。

第4巻:

“美しい者は、戦場に立つ前にまず掃除をしろ。”

掃除か。

戦場って何。

私は掃除機をかけながら、

義姉たちのドレスをアイロンし、

義母のテンションを受け流し、

義姉Bの食べかけのパンを片付けた。

義姉Aは鏡の前でポーズを研究していた。

「この角度の私、王子様に刺さる。

この角度の私、世界に刺さる。

この角度の私、私に刺さる。」

刺さるな。

義姉Bはパンを食べながら言った。

「シンデレラ、あなたの魂って何味?」

味じゃない。

義母は突然、私の手を握って言った。

「シンデレラ、あなたは美しい。

でも美しさは罪よ。

だからあなたは舞踏会に行っちゃダメ。」

罪って何。

私は心の中でつぶやいた。

「この家、全員やばい。」

でも――

この“やばさ”が、

後に私の人生をとんでもない方向へ導くことを、

この時の私はまだ知らなかった。

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