『かぐやは月には帰れない』第12話 運び込まれる月の民

(オウナ視点)

響く轟音。身体を貫く程の音の質量。

家の中にいてもわかるほどのすごい大きな音。家そのものが揺れたと感じるほど。

「オウナ!準備を頼む!」

外にいた翁の声だ。

もう姿は見えない。

よほどの緊急事態なのだろう。

無理もない、あの轟音だ。

貨物便の音は何度が聞いたことがあるけど、あんな凄まじい音ではなかったはず…。

今回はいったい何が…?

翁は準備をしろと言っていた。

まさか月の民が到着したの?

疑う余地はない、あの翁が言うのであればそうなのだろう。

あの音で果たして無事なのだろうか?

考えるな、私がすることはひとつ。

月の民を受け入れるための準備だ。

ーーー

「急げ!慎重に運べ!」

そう時間がたたないうちに、家の外から緊迫した翁の声が聞こえてきた。

月の民がきたのだろう。

弱音は吐いていられない。

私がやるしかない。

ーーー

まもなく月の民が運ばれてきた。

見て驚いた。

運ばれてきたのは女性で、さらに想像していたよりはるかに若い。

なぜ、こんな子が?

血と煤と土にまみれ、呼吸も荒く、脈も安定していない。

予断を許さない。

幸いなのは、まだ生きていて手足がちゃんとついていることだろうか。

翁を看病したときの状態とは比べ物にならないほど悪い。

翁いわく貨物用のカプセルで来たようだ。

あんもので…?人が乗れるようなものでは無かったはず…。

月からの貨物は翁はガラクタばっかりだと言う。そのガラクタさえも輸送の途中で壊れていて、使い物にならないという。

そんなもので人を送ってきたの…?

月のことは、翁に聞いた話でしか知らない。

だけど、はっきり言えるのは、翁をあんな目に合わせた月が私は嫌いだと言うこと。

あの轟音だ。

かなりの衝撃がこの子にかかったのだろう。

それとあんなものに詰められて、気が遠くなるような長い時間を過ごしたのかな。考えるだけでつらくなる。

迷ってはいられない。

私がこの子を助けるんだ。

絶対に死なせたくない!

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