『かぐやは月には帰れない』◆17話 めざめたかぐやの1日

今日もまた目を覚ませた。

昨日と同じ天井だ。

それだけでまず一安心だった。

身体はまだ重いけれど、心はなんだか軽い。

昨日はたくさん泣いて、たくさん話をした。

ふたりの名前も聞けた。

翁(おきな)さんとオウナさん。

素敵な名前だ。

私を助けてくれた人。

この恩は絶対に返さなきゃ。

……とはいえ、身体はまったく言うことを聞かない。

翁さんいわく、ここは重力が強いから慣れるのに時間がかかるらしい。

重力。

月にはなかった概念なので理解が難しいけれど、

どうやら“地面に引っ張られる力”がこっちのほうがずっと強いらしい。

地面に引っ張られているなんて考えたこともなかった。

月では力の強かった私も、ここではまともに立つことすらできない。

まるで地面から伸びてくる手に身体を引っ張られているみたい。

急いでいいことはないとオウナさんが言っていた。

もう少ししたら“リハビリ”?というのを始めるみたい。

それまではひとりで無理しないでねって言われている。

同じ言葉が通じるのに、聞いたことのない言葉が多い。

こういうので、ああ私は地球に来たんだなぁと感じる。

まだ部屋の外には出ていないけれど、

出たらもっと違う景色を感じるのかな。

身体を起こすのも辛いけれど、

ずっと寝たままだと別の病気になっちゃうらしい。

だから横になったまま、左を向いたり、右を向いたり、天井見たり、たまに起き上がってみたりと、文字どおりごろごろしている。

月ではずっと動いてばかりだったなぁ。

こんなんでいいのかなと思うけど、

ごろごろさえも辛いから……まあ、いいのかな。

早く身体が慣れるといいなぁ。

翁さんとオウナさんの役に立つ存在に、

少しでも早くなりたいな。

コメント

タイトルとURLをコピーしました