✨【第3章】セリヌンティウスとの別れ
王宮から戻った俺は、真っ先にセリヌンティウスの家に向かった。
扉を開けた瞬間、彼は言った。
「お前……なんかやらかした顔してるな?」
図星すぎる。
俺は深呼吸して言った。
「頼みがある」
その瞬間、セリヌンティウスの顔が曇った。
完全に“嫌な予感しかしない”の顔。
「……何をした?」
「いや、その……王様に会ってきた」
「は?なんで?」
「いや、ちょっと……説得しようかなって……」
「お前、王様を説得しに行ったの?
なんで?何の権限で?誰に頼まれたの?
そもそもお前、王宮に入れる身分じゃないよね?」
質問が多い。
俺は手を振って制した。
「まあまあ、落ち着け。
で、ちょっとした行き違いがあって……」
「行き違いって何?」
「……友を身代わりに差し出せって言われた」
沈黙。
セリヌンティウスは目を閉じて、深く息を吐いた。
「お前さぁ……
なんでそういうことになるの?
どうして普通に帰ってこれないの?
行商人のふりして酒渡すだけじゃなかったの?」
全部正論すぎて刺さる。
俺は小さく言った。
「……身代わりになってほしい」
セリヌンティウスは頭を抱えた。
「いやいやいやいやいや。
なんで俺が?
お前のせいで?
俺、今日ただの平和な一日だったんだけど?」
「わかる。でも頼む」
「わかるじゃないんだよ。
お前の“勢いだけ人生”に巻き込まれる側の気持ちも考えて?」
俺は土下座した。
「頼む。絶対戻る。
戻らなかったら……その……死ぬ」
「いや、戻らなかったら俺が死ぬんだよ!」
セリヌンティウスのツッコミが鋭い。
でも、彼はしばらく黙ったあと、ぽつりと言った。
「……お前、本当に戻るんだな?」
「戻る」
「絶対だな?」
「絶対」
長い沈黙のあと、彼は肩を落とした。
「……はぁ……わかったよ。
どうせお前、止めても行くんだろ。
だったらもう、付き合うしかないじゃないか」
その言葉が胸に刺さった。
セリヌンティウスは続けた。
「ただし、絶対に戻れ。
俺はお前のせいで死ぬのは嫌だ」
「任せろ。
俺は……こう見えて、やる時はやる男だ」
「いや、見えてないよ」
でも、彼は笑った。
その笑顔が、妙に優しかった。
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