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✨【第4章】山賊とロッキーになるメロス
山道に入ったところで、急に茂みがガサッと揺れた。
「出せ!金を置いていけ!」
山賊だ。
しかも3人。
しかも全員、思ったより声が高い。
俺は両手を上げた。
「ちょ、ちょっと待って!
金はない!でも話を聞いてくれ!」
山賊Aが鼻で笑った。
「話?俺たちは話し合いとかしないタイプだ!」
いや、タイプ宣言いらん。
でもここで抵抗したら普通に殺される。
俺は必死に頭を回した。
「実は……俺、今めちゃくちゃ急いでるんだ。
友の命がかかってて、
しかも明後日妹の結婚式なんだよ!」
山賊Bが困惑した顔をした。
「え、妹の結婚式?
それは……なんか……大変だな……?」
山賊Cも腕を組んでうなずく。
「友の命もかかってるのか……?
お前、意外とドラマチックな人生だな……?」
なんで共感してんの。
俺は畳みかけた。
「そうなんだよ!
だから金とか服とか奪われたら困る!
むしろ応援してほしいくらいだ!」
山賊Aが頭をかいた。
「いや……そんなこと言われても……
俺たちも仕事でやってるし……」
仕事でやってるのかよ。
でも、ここで俺は勝負に出た。
「じゃあさ、
一緒に走らない?」
沈黙。
山賊3人が顔を見合わせる。
山賊Bが言った。
「……走る?俺たちが?」
「そう。
走ってる間は襲えないだろ?
つまり“仕事してない時間”になる。
でも走ってる俺を応援してるっていう
“新しい山賊の形”になる!」
山賊Aが目を輝かせた。
「新しい……山賊の形……!」
山賊Cが拳を握った。
「俺たち、変われるのか……?」
いや、変わらなくていいよ。
でも気づいたら、
俺と山賊3人は並んで走っていた。
完全にロッキーのトレーニングシーン。
「いけメロス!」「もっと腕振れ!」「呼吸整えろ!」
なんで応援してんの。
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## ◆ しかし後半、事件が起きる
山賊Cが突然転んだ。
「うわあああああああああ!!
足がああああああああ!!」
大げさすぎる。
俺は慌てて駆け寄った。
「大丈夫か!?折れてるのか!?」
山賊Cは涙目で言った。
「ちょっとひねっただけ……」
ちょっとかい。
でも山賊AとBは大騒ぎ。
「おい!どうすんだよメロス!
こいつ運ばなきゃだろ!」
「仲間を見捨てるなんてできねぇよな!?」
いや、なんで俺が責任者みたいになってんの。
仕方なく俺は山賊Cを背負った。
重い。
めちゃくちゃ重い。
その瞬間、俺は思った。
――あれ?
これ、1人の方がよくね?
山賊Cを背負いながら、
俺は心の中で冷静に計算した。
(このままじゃ普通に遅れる……
セリヌンティウス……死ぬんじゃね……?)
山賊Bが言った。
「メロス!お前、いいやつだな!」
いや、違う。
俺はただのダメ人間だ。
でも、背負った以上は降ろせない。
俺は歯を食いしばって走り続けた。
「うおおおおおおおおおお!!
間に合ええええええええ!!」
山賊たちは後ろで叫んでいた。
「メロスーーー!!
お前は今日から俺たちの兄貴だーーー!!」
いや、兄貴じゃない。
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