『かぐやは月には帰れない』第11話 まだ鳥の鳴かないうちに

(オウナ視点)

私の朝は早い。

日が昇るのが先が、鳥が囀るのが先か、私が起きるのが先か。

今日は外はまだ薄暗い。鳥もまだ鳴いていない。今日は私の勝ちかな。

私も無駄に早起きしているわけではないが、翁にはもう少し休んでもいいんじゃないかとは言われているが、そうもいかない。

やることは待ってくれないから。それに、私はやることは先に終わらせたい性分だから。

今日もやることは山積みだ。

湯を沸かして、干すものを外に運んで、翁の備品をチェックして、村の人に頼まれていた薬草茶の束を届けたりもしなきゃいけない。

忙しいのは嫌いじゃない。好きというほどの余裕もないが、手足を動かしていれば、余計なことは考えなくて済む。

ーーー

せわしく動いているうちに、空はすでに白んできていた。

翁は外で誰かと話している。

今日は何について話しているんだろう。

土地のことだろうか?新しい農作物のことだろうか?

あの人は“農夫”なんて言葉では収まらない。

この村も、この国もいまや翁の作物なしでは生きていけない。

そういえば今日は、月からの定期貨物の日か。昨日、翁が言っていた。

定期貨物の日は翁はいつもよりそわそわしている。

落ちる場所はだいたい決まっているらしいが、それでも鉄の塊が降ってくるのだから油断はできないのだろう。

あと、新しく月の民も来るかもしれないと。あんな場所からいったいどうやってくるのだろう?

翁が来たときは、途中から看病に加わったので、本当に月からきたのかは分からないけど、翁がいうのだから間違いはないのだろう。

もちろん準備はしっかりと整えてある。翁が来たのはだいぶ前だが、あのときは私の母がメインで看病していた。今回は私がやらなきゃいけない。

私に務まるだろうか…。

そのとき外から轟音が届いた。

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