✨『銀河鉄道の夜は終わらない』
第5章 インファの黒魔術は終わらない
インファも仲間に加わって、
気持ちに少し余裕が出てきたところで、
ふと気づいた。
そういえば——
こいつの“来た理由”をまだ聞いてなかった。
「そういえばインファ。
お前はどうやってここに来た?
死因はなに?」
インファは捨てられた子犬みたいな顔になった。
「し、死因……ですか……?
ぼく……やっぱり死んでるんですか……?」
デブネルが胸を張って言う。
「死んだかどうかはまだわからないよ!」
俺はすかさず
「お前が一番死んでる可能性高いけどな、笑」
「何笑ってるの!?
全然笑えないんだけど……!」
デブネルがプンプンし始めたところで、
俺はインファに向き直った。
「で、なんか思い当たることあるか?
俺たちが帰れるヒントになるかもしれないからな!」
インファはこくりと頷く。
「そうですね……
最後の記憶は……自分の部屋ですね」
「部屋か。だよな。
それで?」
インファは静かに言った。
「…黒魔術の…儀式中だったんですよね…」
「そうか黒魔術か……」
俺は頷く、
デブネルが驚く。
「驚かないんだね、ガリバー」
「陰キャといえば黒魔術だろ」
「その偏見と無自覚の悪口、絶対直した方がいいよ」
デブネルはたまに急に常識人になる。
もっと詳しく聞かせろと言うと、
さっきまでの弱々しさが嘘みたいに、
インファは急に饒舌になった。
「まず黒魔術には流派がありましてぇ↑、
私の黒魔術は“影陰流”といいましてぇ↑、
テレビの星座占いみたいにぃ↑
毎日ちょっとずつその日ごとのぉ↑
黒魔術をぉ↑やるんで↑ぇ↓す↑よぉおおおお!」
……喋り方がうざすぎる。
デブネルが叫ぶ。
「このインキャ、想像以上にヤバいね!」
やっぱりデブネルは常識人だ。
俺は強めに言った。
「結論を言え。そしてその喋り方やめろ!」
インファはシュン⤵︎となった。
「えーと……
それで今日の黒魔術を、
占星ポリ子先生のサイトで見て実践したんですよ…」
理解不能な単語が並んだが、
ここで反応していたら話が終わらないので我慢。
「で、その“今日の黒魔術”ってのはどんなやつだ?
毎日やるくらいだし軽いやつだろ?
死ぬほどじゃないんだろ?」
インファは指を折りながら説明した。
「そうですね。
まず①カーテンを引きちぎりまして、
②それを天井に釘で打ちつけてぇ↑、
③その間に体を入れてぇ↑、
④天井と一体になるぅ⤵︎……
みたいなやつなんですよぉ〜〜」
喋り方が戻ってきたし、
内容も意味がわからない。
デブネルが震えながら言う。
「ねぇガリバー!
コイツやばいやつだよ!!
さっさとつまみ出そうよ!!!」
「まあ落ち着け。
で、その天井にくっつこうとして落ちて、意識失ったってことか?」
インファは首を振った。
「いや、正確には……
それをやろうとしてるところを
近所の人に見られて警察呼ばれて……
(カーテンがないからね。部屋が丸見えさ!)
いろんな人に説教されてるうちに嫌になって、
2階から飛び出したんだ…!
僕は自由になったんだ!!」
……思ってた以上にヤバいやつだった。
現実で再会したら会釈くらいにしておこう。
「まあ……色々と大変だったな。
本当に……色々と……」
インファがイカれすぎてて対応に困っていると、
電車がゆっくり止まった。
次の駅に着いたようだ。
とにかく助かった…気がする。

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