『シンデレラ 夜の舞踏会は少しおかしい』🧔💥🐭 第五章 父、帰宅。何しに出たか忘れた男

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🧔💥🐭 第五章 父、帰宅。何しに出たか忘れた男

夕方。

家の中はいつものように騒がしかった。

義母は鏡の前で自分の美しさを確認し、

義姉Aは鏡に向かって自分に告白し、

義姉Bはパンを守り、

ネズミたちはパンを狙い、

私は掃除機をかけていた。

そこへ――

玄関の扉が、なぜか“蹴破られるように”開いた。

「ただいまーーーッ!!」

父が帰ってきた。

両手に抱えているのは、

市場の食料ではなく、観光客用の木剣。

しかも3本。

父は満面の笑みで言った。

「見てくれシンデレラ!

市場でこれを買ってきたぞ!!」

私は静かに聞いた。

「……何しに市場へ行ったの?」

父は胸を張った。

「え? ……えーっと……

……なんだっけ?」

義母が呆れた声で言った。

「食料よ。あなた、食料を買いに行ったのよ。」

父は驚いた顔をした。

「えっ!?

私、食料を買いに行ったの!?

じゃあなんで木剣買ってきたんだろう!」

知らん。

義姉Aは鏡を抱きしめながら言った。

「お父さん、今日の私、昨日より可愛い?」

父は木剣を振り回しながら言った。

「昨日の君は“可愛い”。

今日の君は“可愛い(剣)”だ!」

意味がわからない。

義姉Bはパンを抱えて言った。

「お父さん、パンは?」

父は木剣を掲げた。

「パンは……無かった!!

でもこの木剣は……あった!!」

デブネズミが木剣をかじり始めた。

父は感動していた。

「見てくれシンデレラ……

ネズミたちは私の買い物を喜んでいる……!」

いや、ただ木を食べてるだけ。

正論ネズミが言った。

「あなたは市場に行くたびに目的を忘れます。

今日で三回目です。」

父は胸を張った。

「三回目か……!

まだまだ伸びしろがあるな!!」

伸びしろの方向が違う。

正義ネズミは木剣を掲げて叫んだ。

「この剣でパンを守る!!」

義姉Bは泣いた。

評論家ネズミは木剣を見て言った。

「この剣、観光客用にしては悪くないね。

ただ、買う必要はなかった。」

父は感動していた。

「ほら見ろシンデレラ……

ネズミたちは私を認めている……!」

いや、認めてない。

私は母の12巻を開いた。

第11巻:

“美しい者は、家族のポンコツを受け入れよ。

ポンコツは人生の潤滑油である。”

潤滑油って何。

父は木剣を3本抱えながら言った。

「さあ、家族会議を始めよう!!

議題は……なんだっけ?」

正論ネズミが言った。

「舞踏会です。」

父は驚いた。

「舞踏会!?

そんな話、初耳だぞ!!」

昨日から言ってる。

義母はため息をついた。

「あなた、本当に何も覚えてないのね。」

父は笑った。

「覚えてないからこそ、毎日が新鮮なんだ!!」

シンデレラ(私)は心の中でつぶやいた。

「この家、父親が一番ヤバい。」

そして――

この“父親の帰宅”が、

後に家族全員を巻き込む

とんでもない大事件

の始まりになることを、

私はまだ知らなかった。

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