『かぐやは月には帰れない』第5話 貨物カプセル

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第5話 貨物カプセル

シャトル乗り場の裏手に案内された私は、

そこで“それ”を見た。

かぐや

「……え?

これ……カプセル……だよね?」

係員

「はい。地球行きの“貨物用カプセル”です」

かぐや

「え?貨物用……?

なんかの間違いじゃない?」

係員

「あー、…一応人も貨物ですから。」

かぐや

「マジで?

学校で、月の民は神の子って習ったよ?

これ、本当にその“神の子”用?」

係員

「いえ、どちらかと言うと“動物用”です。

神の子は地球には送られませんからね。」

かぐや

「厳しい現実だ…」

カプセルの中を覗く。

かぐや

「あの…狭くない?

すでに私のじゃない荷物乗ってるんだけど…?」

係員

「はい。地球用の定期貨物便ですから。」

かぐや

「やっぱり、貨物便じゃねぇか!」

係員

「…もういいですか…?このやりとり…」

かぐや

「よくないよ!こっちは命かかってんだよ!」

係員

「月の技術は世界一です!

そこは安心してください。

荷物の破損率も10%程度ですので!」

かぐや

「結構、あるじゃねぇか!

こっちは人間なんだよ?」

係員

「かぐや様はそこらへんの貨物より丈夫と聞いております!」

かぐや

「もういいよ!このやりとり!不毛だよ!乗ればいいんでしょ!!」

係員

「…そうです。早く乗ればいいのです…!」

かぐや

「こいつ…ムカつくな…。

え?あのさ?椅子は?ないけど?」

係員

「椅子はございません。貨物用…いえ、安全上のためです。

こちらの柱に、かぐや様を縛りつけて固定します。」

かぐや

「柱!?固定?私を?何で?

え、これ……縄じゃん!?

縄で縛るの!?

え、待って、もう…本当に…貨物じゃん…!」

係員

「歴史に残る貨物ですね!」

かぐや

「うるせぇえええええ!!」

かぐや

「てかパイロットは?

誰が操縦するの?」

係員

「…?

貨物ですから、そういうのはありませんが?」

かぐや

「いないの!?

てかもう貨物扱い隠す気ないじゃん!!」

係員

「だって、一緒に行っちゃったら帰って来れなくなりますし…。

あ、パイロットが」

かぐや

「帰って来れないとか重要事項さらっというなよ!!」

係員

「…とにかく、そろそろ乗りましょうよ

…。

地球の人もきっとまってますよ!!」

かぐや

「誰もまってねぇよおおお!!」

ーーー

かぐや

「マジかよ…柱に縛りつけられて貨物扱い。パイロットは愚か、操縦席もない…。10%の確率で貨物破損するとか…

いやだああぁああ!!

やっぱり行きたくないぃいいい!!

死ぬの怖いぃいいいい!!」

係員

「…もう、いい加減覚悟決めましょうよ。あなたならきっと大丈夫です。

私、このやりとりそろそろ飽きてきました!」

かぐや

「飽きてんじゃねぇええ!!

こっちは命かかってんだよおお!!」

係員

「まあまあ、“旅は道連れ世は情け”とも言いますし、きっと大丈夫ですよ!」

かぐや

「道連れって私以外誰もいねぇじゃねぇか!同伴者いねぇじゃねえかぁ!!」

係員

「…貨物、他の。」

かぐや

「私をすでに貨物とよぶなぁああ!!」

ーーー

かぐや

「もういいや…、もうなんでもいい…、早いとこ縛りつけてくれ…。」

係員

「…やっとですか。今回は時間かかりましたねぇ。」

かぐや

「今回とか言うな!

地球までどのくらいかかる?

トイレとかどうすんの?

てか、縛られたまま何日過ごすの?

本当に大丈夫?」

係員

「大丈夫です!

移動中は衝撃やら何やらで“昏睡状態”に……

あっ、いえ、“睡眠状態”になりますので!起きたらついているぐらいです!!」

かぐや

「今“昏睡”って言ったよね!?

ねえ!?

私、生きたまま地球行けるの!?」

係員

「大丈夫です!!身体が到着しなかったことは今までありませんでしたから!」

かぐや

「身体は?なにその言い方?

え?命は?

ねぇ、身体だけついても意味ないんだよ??わかってる??

命は?本当に大丈夫なんだよね!?」

係員

「では、固定しますねー」

かぐや

「待って待って待って!!

心の準備が……!」

係員

「大丈夫です!

すぐ終わりますから!」

かぐや

「私の人生が終わるぅうう!!」

カプセルの中は狭かった。

柱に縛られた状態で、

私はカプセルの中に押し込まれた。

かぐや

「狭い……

息できる……?

これ本当に……?」

係員

「では、発射します!」

かぐや

「ちょっと待っ——」

ドンッ!!

かぐや

「ぎゃあああああああああああああ!!」

視界が白くなった。

(……これ、死ぬかも)

(ケンヂ……ユキ……)

(私……地球に着く前に……)

意識が遠のいていく。

(……でも……)

(地球に無事ついて……地球で受け入れられたら……)

(……いいな……)

衝撃で完全に意識が飛んだ。

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